「この辺り、だいたいカット料金がこのくらいだからね~。」
と、自店の価格を決めてしまう。それも間違いではないかもしれません。マーケティングという観点から考えれば、その地域にあったやり方という考えも、ある意味では正解でしょう。ただ、それは「平均を選んでもらいたい」ということになります。
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あなたの、あなたのお店のカットは「平均」ですか?「平均」を好んでくださるお客様に、たくさん来ていただきたいですか?
「はい!私は平均で充分です!」
「いえ!より高い価値にしたい!」
どちらが正解、というわけではありませんが、近年の美容業界の傾向として「カット料金を上げる」という業界価値を上げる取り組み、徐々に増えてきていると感じます。必死で学び、やっとの思いでスタイリストデビュー!そして、何年も何人ものお客様をカットし、一人一人のお客様へのオーダーメイドのヘアスタイルを作り上げる。その「価値」を高く評価していただく。それが「平均」を提供する、イオンを目指すような大型チェーン店とは違う、個人店・地域密着店としての「個」や「差」を創っていくのではないでしょうか?
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実際、30歳前半でカット料金¥7,000とか¥10,000と、自身の価値をしっかりと価格に反映されている美容師さんもいらっしゃいます。表参道・青山のサロンではなくて、都心からやや外れているサロンでも。それでお客様が来なければ本末転倒ですが、しっかり高リピート率を維持されています。データを見ても、その「価値」が認められていることが証明されていますね。
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他、オーナーカット料金やトップスタイリスト料金があるサロンもありますが、私はそういう付加価値があることは大賛成です!経験の違いも価値!その差が明確であれば「私もスタイリストとして、そこを目指したい!」という目標にもなります。
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値上げばかりがよいわけではないですが、美容師としての経験も「価値」として伝えられる体制があるべき!そして、それが価格にも反映できて「あのお店・あの美容師さん、〇〇他とは違うよね!だから、この料金にも納得!」と感じていただけるお客様が増える。
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極端な言い方ですが「当店は『とにかく短かく切ってくれたら、それでいい。』というお客様はお断り!そんな場合は、あちらの¥1,000カットへどうぞ!」くらいの姿勢も必要な時代なのかもしれません。
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「縮毛矯正¥30,000とか言ってた、昔の時代とは違うんだからさ~。」
と、価値の限界を決めてしまう。お互いに『リーズナブル』を求め、提供したいなら間違いではないです。ここでは縮毛矯正を例にしましたが、カラーでもパーマでもトリートメントでも同じですね。「他と同じ薬液を使う多く出ている技術」を「無難に提供する」なら、平均価格にすることもやむを得ないでしょう。
「他と同じ薬液で、多く出ている技術でも、私はそれを『こんなお客様に、最適に提供できる!』力があるし、そのために努力しました!だから、他とは違う価値として、価格も違うんです!」と、明確に言えるなら、それはお店にとってもお客様にとっても「価値ある納得価格」になるはず!さらに薬液や技術内容も、他には絶対にできないことなら、それもより大きな価値になるかもしれません。ただ、今の時代は情報がどこからでも手に入れられるし、目新しいモノはすぐに広がり「平均化」される。なので、その「価値」を高める伝え方と、自信をもってサービスを提供できる体制があることが、個人だけなじゃなく「お店」単位で「平均」から飛びぬけていくために必要ではと感じます。
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実際に、今でも縮毛矯正¥80,000というサロンもあります。それに値する「ヒト・モノ・情報」を伝えているからこそ、それは実現できるのでしょう。そういうサロンは、VIP顧客の単価がすごく高い傾向にあります!「価値」に「投資」するお客様に選ばれているのでしょう。
ひとつ前のカット料金でもそうですが、その人の「価値」を高めるためにも、プロフィールや経歴をわかりやすく伝えられることも大事ですね。その個人の「経験」も「価値」になりますから!あ、SNSのプロフィール、ぜひ見直してみてください。これも「伝える」方法の一つです。
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「新規集めるなら、周りより『ちょっとお得』くらいかな。」
と、ちょい安お値引き競争に巻き込まれてしまう。クーポンサイト掲載で、ありがちではないでしょうか?そういう場合は、だいたい新規のリピート率が悪いです。そりゃそうですよね。同じように『ちょっとお得』を求めるお客様がたくさんいる中に「平均よりちょい下」があれば、その「ちょい得」を探し続けて、次のお店を探すお客様を集客しているわけですから。まあ、若いスタイリストに多くのお客様を経験させたい!という「教育」面では必要なことですし、それがないとそもそも人が育たないし辞めちゃう!という視点もあります。大型店では、特にそれは重要。
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ただ「地域の唯一のお店・美容師さん」であるためには、それよりも「ウチには『他にはない』こんなこだわりがあるから、こんなスタッフだから、こんな経験があるから、こんなお客様に満足ただけるから」という、独自の価値を伝えることで新規集客できたなら、それは「少し高くても、高リピート」な集客になるはず。例えば、ただの「カット¥5,000・ご新規さまは¥4,000!」ではなく、「経験豊富なスタイリスト集団の、オーダーメイドカット¥6,000!その違い、一度体験していただきたい。だから、初めての方は¥5,000!」とかでしょうか。
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長々と書きましたが「平均」って、どんどん多くなる。世の中の2:6:2の法則の「6」に入ってしまうと、競争も激しくなる。だから、上か下の「2」に入ることで、競争から抜け出せるのではと思います。もちろん、上の「2」を目指してほしいです。
その他大勢の中で、価格競争に巻き込まれる。売上アップに経費もかかり、利益は増えにくく、回転数ばかりが上がり、お店もスタッフも疲弊して、お客様も離れやすくなる。確かに、今後は危険かもしれませんね。