今さら?と思う人もいらっしゃるかもしれませんし、人あってのビジネスなのであたりまえかもしれません。しかし、全国津々浦々と、様々なサロンオーナー様にお会いしている中で、私としてはこれをもっとも強く感じています。
サロン経営において、大きな5つの要素を「集客・求人・育成・お金・情報」としてみます。細かく言えば、技術・接客・商品・サービスなどもありますが、これは先に書いた5つの要素があってこそ成り立つものだと考えます。それぞれ、当たり前ですが❝人❞大きく関わるもの。お客様・スタッフではなく、シンプルに❝人❞として捉えて、以下にて各要素と❝人との連鎖❞について書いていきます。
①集客と❝人との連鎖❞
ちょっと前に、気になる記事を読みました。
この中で、一般のサロン利用客の「技術の違いはよくわからないので、いつもクーポンの使えるお店を選んでいます。同じお店のクーポンは一度しか使えず、自宅沿線のお店はほぼ回ったので、これからは少し離れたところのお店に行くことにしています」という言葉があります。もう、だいぶ前からこういうお客様も増えています。クーポンサイトは、そういうお客様を回遊させていくほどビジネスになるわけですから、これはもうクーポンサイト来店のお客様には、ある一定数はそういう「リピートしない1回切りのお客様」がいるということ。
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では、そんなお客様は美容室にはいらない!かというとそうでもない。若手スタイリストの大きな経験になります。リピートも失客も経験するからこそ成長できる!これは、特にスタッフの多いサロンではメリットもあるでしょう。スタッフ数の多い、ある程度の企業規模があるサロンでは、クーポンサイトも有効な教育費と考えることもあるようです。
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逆に、小規模サロンで席数も少なく売上のMAXが決まっている場合は、その1回切りの新規を受け入れることで、生命線ともいえる常連客を失ってしまうケースもあります。これは、逆に大きなデメリットになります。1回切りで他に行こうと決めているお客様が、1回目の安さを求めてご来店するのだから、それを覆して2回目につなげるのはかなりハードルが高い!だったら、むやみに多く集めるのではなく、集める前から少人数でリピートしやすいお客様を狙う戦略にするべき。
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そもそも、お客様が「人」として二極化しているのですから、サロン側も二極化していくはず。高単価を払えるお客様に、高単価な価値のあるメニューを作り、高単価を払い続けていただけるサービスを提供する。これは、きっと大型店より小規模店の方が向いているのではと思います。こういう引用で使わせていただくのは、ちょっと違うかもしれませんが、全国展開を進めている髪質改善専門サロン
Dearsの北原孝彦氏も、その特性を最大限に活かしたビジネスモデルを確立されているのではないでしょうか?
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低価格と言えば、以前は1000円カットなどが目立っていましたが、今は1000円カットとまではいかなくても、オシャレで雰囲気が若くてリーズナブルな業務委託サロンが増えている印象もあります。今後、社会保険や消費税の問題でどうなっていくかは未知数と言われていますが、美容室の成功の1つを多店舗展開と考えるなら、これもお客様に支持された1つのカタチでしょう。業界で一気に話題になり、若者に絶大な人気を誇ると言われる
ALBUMも業務委託サロンですね。しかも、経営者が元カカクコムの創業者というところも、なかなかの業界参入の激しさであり、今の❝人❞の動きがビジネスになると感じたからこそ、参入したのでしょう。
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今の時代、若い世代は高価なモノより、体験にお金を払うと言われています。そもそも、バブル時代の日本を知らなくて(私も、ギリギリ社会人としては経験していません。)、カンタンに便利さが手に入り、モノが不足していることがないから、お金を使う欲求が低くなる人が増える。美容室に行くことをただの「メンテナンス」と捉える人は「安さ」を重視するので、低価格サロンが重宝される。逆に、美容室に行くことで、高くても自分の求める「価値」や「体験」を得られるなら、そこにはお金をしっかり払う。=高単価サロンとして成立する。このような「人」の変化に柔軟に対応していかないと、今まで通りの「地域の価格に合わせたよくある美容室」が、一番大変になりそうな気がします。それでも、地域の皆様に愛されるほどよい価格の美容室を続けるなら、その地域にその美容室があることの、技術や商品以外での「圧倒的な価値」を明確にしていく必要があるのではと思います。
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*定期的に最寄りの駅で挨拶をする。
*定期的に周辺地域のごみ拾いをする。
*社長がラーメンを作って販売する。
*季節のイベントで地域の人を巻き込む。
*周辺の施設やお店への挨拶で集客。
*やたら目立つ色のお店にする。
*デカすぎる黒板の看板で目立つ。
*メニュー名をお酒の名前にする。
*店販商品にはサロンロゴを貼る。
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上記はすべて、実際にやっている美容室の事例です。お客様が「あ~。あの美容室ね!」と、すぐに言えることを明確にすることで、地域に存在する「圧倒的な価値」が、中小規模サロン・標準価格サロンにはますます必要になりそうです。それが、きっと美容室を探すキーワードにもなってくるはず。今や、グーグル検索よりも、インスタやツイッターなどのSNS検索で表示される情報の方が、信用性が高くて選ぶ要素になる時代です。「#〇〇な美容室、で検索すると見つかるよ!」と言われるような状態を作れるとよいのではないでしょうか?そういう自店の価値のアウトプットを持ちつつ、今や美容業界の集客では無視することのできない、クーポンサイト・集客アプリ等と共存し続けるのか?利用するのか?はたまた、完全に離れるのか?という方向性を決めて、依存せずに集客するべきではと思います。
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私は、美容室を客観的に見る立場であり、最初に書いたサロン利用客の「技術の違いはよくわからない。」という言葉から、考えたことを書いてみました。なので今、あえて「技術」という商品の部分で違いを出すのではなく、別の方法を考えてみることで、より「人」に連鎖してサロンを成長させることができるのではないでしょうか?誤解のないように書いておきますが、もちろん技術向上をおろそかにしてもよいと言っているわけではありません。「人」の変化に対応していくことが、さらに強い「価値」になっていくのではという想いで書いています。
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集客と❝人との連鎖❞が加速する。いかがでしたでしょうか?①だけで長くなり過ぎたので、②~⑤はまた1月中に書いていきます。
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