今回は、ちょっとヘビーなお話です。
男性美容師40代限界説について。
いや。もっと早い30代後半くらいの段階でしょうか?
「トレンド・若い世代に対応できなくなったら、もう現場の雇われ美容師として男性は下り坂なのでは?」
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●新規を多く担当させられない。
●新しいことに取り組めなくなる。
●飽きさせない提案ができなくなる。
●常連さんでの現状維持が精いっぱい。
●で、徐々にお客様は減っていく。
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美容業界ではそんな声もあると聞きます。しかし、私はそうは思いません!長年サロンのデータを見てきて、そんな限界説を覆す事例をたくさん見てきましたので、データに基づいてお伝えしていきます!データ屋視点なので、少々ややこしい分析数字なども出てきますが、頑張って考えて読んでみてください。
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まず、以下3つのデータが重要です。
★年間客単価
★年間来店サイクル
★年間カルテ数
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「何?そんなよくある数字?」
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そう思いますか?でも、この3つの数字を“年間”で見直しているサロン、実は非常に少ないんです!ここで、以下のある比較図をご覧ください。
とある分析結果です。デシル分析という資料ですが、ここでは詳細な説明は省略して、今回のお話に関わるポイントのみお伝えします。(デシル分析については⇨
過去記事の一部で少し詳しく書いています。気になる方はご覧ください。)尚、分析数字は少しだけ加工していますが、ほぼ実際の数字に近い内容です。
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左が30代前半の女性スタイリスト。
月平均売上約113万。客単価8,300円
年間カルテ数418人。
年間の来店サイクルは約90日。
あるサロンで10年以上勤務されていて、美容師としてのキャリアも人間力も充実!まだまだ成長できる!と言う感じの活躍中の方です。
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右が40代後半の男性スタイリスト。
月平均売上約145万。客単価7,600円
年間カルテ数419人。
年間の来店サイクルは約60日。
都内郊外で20年以上同じサロンに勤務されていて、店長としてベテランとして、そのサロンの模範的な存在という感じです。
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年間カルテ数はほぼ同じ。客単価はむしろ女性スタイリストの方が高いから、売上も良くなるはずなのでは?と考えてしまいそうです。しかし、男性スタイリストの方が月平均30万以上も売上が高い理由は、実は年間来店サイクルにあります!しかも、常連さんの来店サイクルが圧倒的に高くて安定しているんです!
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上記は例の一つです。
この男性スタイリストさんが所属しているサロンは、メニュー戦略がその地域に非常に合っています。上顧客になっていただけるアプローチと、その後もご来店し続けていただける仕組みが徹底されていて、地域密着サロンとして30年近く同じ仕組みで繁盛しているんです。大まかな表現をすると、主婦層のお客様が何年経っても髪の健康を保つことができて、そのサロンにしかないメニューが鉄板商品として認知されている。正直なところ、サロンの規模的にも仕組み的にも、スタイリストの月間売上は150万前後がMAXでしょう。そんなサロンで、その仕組みの中で、模範的な働き方を続けている。サロンの戦略・仕組みと、その男性スタイリストの働き方が、お互いの成長を続けているとも言えるのではないでしょうか。
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他、違うパターンもあります。
☆上顧客への圧倒的な高単価戦略!
☆キャリア別のメニュー料金設定!
☆新情報・新提案を導入し続ける!
☆とことんお客様とメニューを絞る!
☆完全マンツーマンで個人主義徹底!
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こうやって並べてみると、これは『何でも屋』では難しい働き方ではないでしょうか?
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そういう『何でも屋』ではない自分を作るためにも、実は最初の3つの数字が非常に重要!
★年間客単価
★年間来店サイクル
★年間カルテ数
もちろん、他に重要な数字も色々とあります。リピート率・プラスメニュー数・カラー比率・パーマ比率などなど、自分がこだわる数字・サロンで評価される数字は、それぞれ状況によって意識するべきです。しかし、たくさん数字を見過ぎて「結局、何をしたらよいのかわからない。」というのも本末転倒です。そのために、あえて上記3つの数字だけを見直してみていただきたいです。
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もしこのお話を読んでみて、これからの自分の成長が気になったら、この年末、又は年始に以下5つの振り返りを是非試してください。
①上記3つの数字を振り返り考える。
②その3つの数字を昨年と比べる。
③自分より成長している人と比べる。
④どの数字が明らかに違うのか?知る。
⑤どんな行動が違うのか?聞いてみる。
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で、素直にその一味違う成長につながる行動を、とことん参考にして実践してみる!最高の見本がすぐ近くにあるのに、実はサロンで共有できていないケースは非常に多いです!以下、ある男性スタイリストになったつもりで、上記の①~⑤を実際に行動する時の表現で書いてみます。
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①今年の成果を振り返ってみよう!
「なるほど!自分の年間売上は、こういうお客様によって作られているのか!これは、今ウチのサロンで求められている状態とマッチしているのだろうか?」
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②去年の自分に比べてどうだろうか?
「あ!昨年よりお客様数は減ってしまっている。売上は横ばい。年間を通して客単価が少し上がったから、何とか売上は維持できているのか。これは、サロンとして今年の新しのメニュー戦略のおかげかも?」
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③店長はどんな売上構造?
「なるほど。自分はこういう状態だが、いつも現場のトップを走っている店長は?さすがの売上!でも、カルテ数は自分とそんなに変わらない。というか、やや少ないのに、どうして売上は高いんだろう?」
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④圧倒的な違いはどこにある?
「何と!来店サイクルが自分とはまったく違う!他の数字はそこまで大きな差は無いけど、これは圧倒的だ!さらに、よく見ると上顧客の客単価は元々高いのに、さらに去年よりもアップしてる!これが自分との違いか!」
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⑤成果につながっている行動とは?
「店長!相談があります!今回の分析で、自分の来店サイクルがまだまだ長いことがわかりました!さらに、常連さんの客単価もまだアップできる余地があります!普段の営業・接客で、そういう部分を伸ばすためにどういうことを意識して、行動されているんでしょうか?」
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これまでのキャリアがあるからこその、今の自分の成長に必要な最良のヒント、きっと見つかります!
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店長も嬉しい!
自分も成長できる!
後輩も同じ行動ができるかも?
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実はこれ、40代前の男性美容師に限らず、誰でも成長につながるデータ・振り返り・行動です!
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イイ事だらけじゃないでしょうか?
3つのデータと5つの振り返り。
濃い目なテーマ。年末年始のお供に是非!
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